SOUNDTRACK REVIEW
THE INCREDIBLES
Ｍｒ．インクレディブル
DIRECTED BY BRAD BARD/
MUSIC COMPOSED BY
MICHAEL GIACCHINO
WALT DISNEY/61100-7
2004/11
ピクサーの新作は『
アイアン・ジャイアント
』のブラッド・バードを監督に迎えてのスーパーヒーロー物。スーパーヒーローの活躍を禁ずる法律のせいで冴えないサラリーマン生活を続けるしかなくなった中年男が要請を受けて再び立ち上がる。スコアはルーカス・アーツのゲーム『メダル・オブ・オナー』シリーズや『
シークレット・ウェポン・オーバー・ノルマンディ
』、ＴＶシリーズ『
エイリアス／二重スパイの女
』で頭角を現しているマイケル・ジアッチーノ。これが初めての劇場大作になる。予告で『女王陛下の００７』が使われたことからも目指す方向性はあの頃のスパイ物音楽だったようで、実際ジョン・バリーにもオファーしたようだ。しかし、結局ジアッチーノに白羽の矢が立った。結果としては正解だったのではないか。残念ながら今のバリーにはここまで元気の良いスコアは書けないのではないか。通常ならジマー系のスコアが着いてもおかしくないところを、６０年代から７０年代前半のスパイ物のジャジーなテイストを大胆に取り入れたフルオケスコアに仕上げている。でも、監督の希望はあくまでも『女王陛下の００７』ライクなテーマだったらしく、イメージはかなり近い。そのメインテーマも出てくるオープニングからして００７のパロディ的なサウンド。９曲目など００７で敵の秘密基地が出てくるシーンの典型的なバリー節。デイヴィッド・アーノルドが『００７／トゥモロー・ネバー・ダイ』でフルオケでド派手なバリー節を試してみたのとはひと味違い、バリーのジャズセンスをも取り込んだスコア。これまでのジアッチーノのスコアから考えると予想外であり、燃え系の派手さを期待すると肩すかしを食うほど音数も音量も絞ったスコアだが、かなり綿密なフィルムスコアリングがなされている。また、最近のサントラには珍しくエンドクレジットも収録。これだけアレンジが別人になっているが、タイトルバックとシンクロした音楽は爽快である。バリーの００７が好きなら一聴の価値あり。タダのパロディか、それ以上かは聴いた人の判断で。でも、ここまで消化できていれば文句ないのでは。だいたい、このレベルまでパロディするのはとても難しいことなのだ。オケはハリウッド・スタジオ・シンフォニー。
なお、CD EXTRA仕様になっているが、ディズニーのサイトにアクセスできるだけで意味はない。
これが評価されて、ジアッチーノの次回作はディズニーのスーパーヒーロー物"SKY HIGH"になった。ＴＶシリーズ"LOST"も好評のようだし、前途に期待が出来る。
燃え度
：
＋
燃えコメント
：バリー００７燃え！
■５：インクレディブル！
最高！
老いてもバリーならもっと凄いスコアを書くだろうがこれはこれで合格。
最高！
D・アーノルドに続き、燃えるバリー節の名手！
■３：ナチュラル
まあまあかな？
バリーの前にベリーなし、バリーの後にバリーなし。
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