SOUNDTRACK REVIEW

TOMORROW NEVER DIES
007/トゥモロー・ネバー・ダイ

DIRECTED BY ROGER SPOTTISWOODE/PIERCE BROSNAN,JONATHAN PRYCE,TERI HATCHER

MUSIC COMPOSED BY DAVID ARNOLD
A&M/31454-0830-2

 007シリーズ18作目にして、5代目007ピアーズ・ブロスナンの2作目である。今回はメディア王が敵役らしいが、ジョナサン・プライスはまったく悪役顔ではない。小悪党という感じだが、それも時代の流れか。音楽は『インデペンデンス・デイ』のディヴィッド・アーノルドが起用された。実は前作『ゴールデン・アイ』でもオファーがあったのだが、ラッシュを観て断ったそうだ。理由は「007がマシンガンを乱射するなんて認められない」とか。今回はマシンガンは撃たないが、機銃は撃ちまくっている。スコアの方は前作のエリック・セラから一転、ジョン・バリーを意識した作りである。007のテーマを自在に使いながら、アーノルドらしい迫力のオーケストラサウンドを鳴らしている。007のテーマが大々的に流れるのが嬉しい。やっぱりこうじゃなくちゃいけない。思ったよりは控えめだが、巧い。まだ5作目とは思えない堂々たる仕事である。はっきり言おう。デビュー時のホーナー以上の才能だと。ただ、スコアはサントラに間に合わなかったために映画後半部分が収められていないのが残念。
 毎度お馴染みの主題歌はシェリク・クロウ。自作自演(ピアノも)だが、もう一歩はっきりしない。元々彼女の歌はこういうスタイルなのだから、これでいいのだろう。タイトルバックをどう見せてくれるかが問題になる。サントラには他にK.D.LANGとMOBYの曲、さらにアーノルドとPROPELLERHEADSによるテクノヴァージョンが収録されている。K.D.LANGの方はアーノルドの作曲で、歌詞中にタイトルが繰り返し出てくる。それだけではなく、スコア中にはクロウの主題歌はモチーフとして現れず、こちらの曲が何ヶ所かでモチーフとして聴かれるのである。これはこちらが主題歌として作られたものの、製作サイドの理由で蹴られたためである。個人的にはこちらの方が好きなだけに無念だ。

 なお、COMPOSER'S CUTとして、後半の曲を収録したサントラCDも発売されている。

   戻る