SOUNDTRACK REVIEW
鬼武者
MUSIC COMPOSED BY
佐村河内守
SULEPUTER/CPCA-1048〜9
カプコムがＰＳ２で放つ超大作アクションゲームのサントラと交響組曲の２枚組。ゲームは『バイオハザード』の時代劇版といった内容。佐村河内は『バイオハザード』のＰＳ版（デュアルショック版）の音楽を担当した３０歳の作曲家で、重度の聴覚障害の持ち主という。先に交響組曲を作って、ゲーム用を作るという宮崎＆久石コンビのような贅沢な事をしている。おまけに交響組曲は新日本フィルに雅楽奏者、和太鼓、尺八、琴、三味線など和楽器奏者５０人を加えた２００人超の演奏。和楽器は林英哲などこの道で一流の奏者ばかりだ。おまけに通常のＣＤではなく、ＪＶＣの規格xrcd2での製作（早い話、20bid録音に加えて、生産工程に独自の厳しいチェックが加わったものらしい）。気合いが入っている。
３楽章２３分からなる交響組曲はいきなり能の謡いから始まる。ざっと聴くと音に元気がない。それぞれの音はくっきり聞こえるのだが、どこか遠くで鳴っているようで臨場感に乏しい。それならとヴォリュームを上げてみたら、ようやくパワーが出た。xrcd2の規格のせいなのか、異種の楽器が混成しているための録音やミキシングでの調整のせいなのか。曲の感じはというと、良くも悪くも和洋折衷。ハリウッドアクション調の部分とクラシック音楽調の部分、それに日本的な部分がそれぞれ独自に我を主張している。こなれきっていないが故のおもしろさもあり、そこがいいと思うかどうかが分かれ目だろう。個人的には非常に楽しい。特に第２楽章の終盤で太鼓が打ち鳴らされるところなどはなかなかの緊張感だ。
サントラの方はＰＳ２の内蔵音源を使うという事で、さすがにチープになるが、かなり頑張っている。和楽器も生音をサンプリングして使用している。アクションシーンの多いゲームだけにその部分の音楽が気になるが、交響組曲で提示した主題を出しつつ、７８分弱という収録時間を飽きさせずに聴かせるだけのパワーがある。わかりやすい分、こちらの方が耳に馴染むだろう。
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