SOUNDTRACK REVIEW



ジャイアント・ロボ

MUSIC COMPOSED BY 天野正道
アポロン/BCCM-18(1巻)・APCM-5008(2巻)
日本コロムビア/COCC-11290(3巻)・COCC-11447(4巻)・COCC-11982(5巻)・COCC-12716(6巻)
東芝EMI/TYCY-5584(7巻)

 足かけ7年。ついに終結を迎えた傑作OVA。横山光輝キャラ総出演というだけでなく、音楽の方もサントラファンの間で賛否両論の物議を醸した。その理由は"パクリ"である。どこかで聞いた覚えのある映画音楽が大量にアレンジされているのである。詳細は避けるが、かなりの量だ。有名なものもかなりレアなものもある。元凶が製作陣からのテンプトラック指定にあったと知るのは後になってからだが、絶妙なアレンジと一本筋の通った響きの統一のため、個人的には微笑を持って歓迎していた。何よりも1巻前半で見せたフィルム・スコアリング(実際には絵コンテ・スコアリングだそうだ)に作曲家の意地を見たのである。CDはOVAに実際使われた曲の後半にオリジナル部分が追加され、長くしたヴァージョンが多く収録されており、ここにも作曲家の意地が現れている。最終巻である7巻はモチーフ以外はほとんどオリジナルで作曲されており、実際に使用されなかった部分はない。しかも1時間のOVAにサントラは53分。ほとんど鳴りっぱなしである。なにせ全編クライマックスなのだから。
 なお、演奏はすべてワルシャワ・フィルで、ホールにおいての一発録り。重厚な音と録音レベルの高さはオーディオ専門家が絶賛したほどのクオリティである。7巻目のみレコード会社の違いだろうが、音の広がりがなく、低音がこもったように聞こえる。おそらくマスタリング段階のミスだろう。
 パクリの件については私は口を出す立場にない。しかし、その事だけで『ジャイアントロボ』は聴く(観る)価値のないものだと断じるのはあまりにももったいない作品である。確かに物語は今に至るも終わっていないし、ただの通過地点(しかもクライマックス直前の)でしかない。しかも、続編を作る予定は今のところない。これは商業的に利潤が得られなかった事もあるだろう。サントラの発売元が2度も変わっている事からも苦しい台所事情が読める。完結までにこれほどの歳月が必要だったのもそうだ(もっとも他にも大きな事情があったのだが)。だが、あえて言おう。予定どおりの7巻で予定の物語を完結させたという事の素晴らしさ。これがプロの仕事なのだと。買え。そして、観よ。聴け。文句はそれからだ。
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