SOUNDTRACK REVIEW

アヴァロン

DIRECTED BY 押井守

MUSIC COMPOSED BY 川井憲次
メディアファクトリー/ZMCZ-1171

 押井監督の最新作は実写を全編に渡ってデジタル加工したヴァーチャルリアリティ物。パートナーの作曲家・川井憲次としては初めてのワルシャワ・フィルにコーラス、シンセを使った大がかりな作品となった。これまでと違ってオケが主体となって川井サウンドがどうなるかという興味がまずあるわけだが、見事に豪華になった川井サウンドが成立している。メインテーマとなる曲"LOG OFF"はこれまでにも『御先祖様万々歳!』などでよく聞かれた淡々としたリズムに硬質なメロディラインが乗っていくパターンだが、これがフルオケになってコーラスが入るともの凄いパワーを持って迫ってくる。この曲だけでも買い(しかも、"LOG IN"と2パターンある)である。ヴァーチャルリアリティであるゲーム世界はメロディのない無機質なスコアで、『ミスト』のような海外ゲームにはよくある感じ。聞き所は最初に作られたという"VOYAGE TO" AVALON"のオケヴァージョン。実に10分以上の大曲はオーケストレイションのせいもあるだろうが、見事にクラシカルでありながら、どこか川井サウンドが耳に残るという傑作になっている。
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