SOUNDTRACK REVIEW
A.I.:ARTIFICIAL INTELLIGENCE
Ａ．Ｉ．

DIRECTED BY STEVEN SPIELBERG/HALEY JOEL OSMONT,JUDE LAW,WILLIAM HURT

MUSIC COMPOSED AND CONDUCTED BY JOHN WILLIAMS
WARNER/WPCR-10989

　キューブリックの企画とスピルバーグが引き継いで完成させたＳＦ。とは言っても、かなりスピルバーグの手が入っているようで、脚本にキューブリックの名前はない。スコアはもちろんウィリアムズである。
　ロボットとウィリアムズといえば『ハートビープス』という自身思い出したくないという作品があり、その時は慣れないシンセを大々的に使用して実験的ながらも成功したとは言えないスコアになっていた。しかし、さすがに時間もたち、スピルバーグと組むとなれば失敗するわけにはいかない。少年ロボットの愛を求める彷徨という、いつもであれば大仰なまでにテーマをならし、過剰に説明的なスコアを書くだろう素材だが、意外にもかなり控えめなアンダースコアに徹したスコアが多い。もりあげるところはコーラスを使ったりしているが、これまでの作品ほど大仰ではない。部分的にテクノ／ハウス調が出てきたのには驚いた。ロボットやモニカ（母役）など複数のテーマが設定され、ちょっと作品全体として散漫な印象が残る。おまけにキューブリックへの敬意かリゲティの《レクイエム》っぽい曲まで挿入しており、部分的に昔のウィリアムズが戻ってきたような印象も受け、その辺りがさらに散漫さと違和感を生んでいる。なにはともあれ、映画共々不出来ながらも妙な印象の残る作品なのは間違いがない。
　なお、主題歌としてスコアの中のモニカのテーマを使用してデイヴィッド・フォスターがプロデュース、ララ・ファビアンが歌う"FOR ALWAYS"が２ヴァージョン収録されている。ただし、劇中には流れない。それにしても、このテーマってどこか聴いたような感じなんだが……。
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